仕事でふとした瞬間、「最近ストレスが溜まっているせいか、耳がキーンと痛い気がする…」と感じることはありませんか?
結論をいうと、首や肩まわり、顎(あご)の筋肉がストレスによって凝り固まり、血行不良を起こすことで耳の痛みにつながる場合が多いです。
実は…こうした耳の痛みを放置すると慢性的なコリや頭痛を引き起こし、生産性にも大きく影響する可能性があります。
この記事では、ストレッチの専門家が対処法から予防策まで詳しく解説します。
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目次(Contents)
1. 対処法

まずは「とにかく今すぐどうにかしたい!」という方に向けて、対処法をまとめます。
ストレスやデスクワークで耳が痛いとき、原因の多くは筋肉の緊張や血行不良から生じています。
ここでは、短時間で実践できる方法を中心に紹介します。
首・肩の緊張をほぐすストレッチ
首を前後左右にゆっくり倒す
• イスに座ったままでも立ったままでもOKです。背筋を伸ばして顎を引き、リラックスした状態からスタートしましょう。
• 頭を前に倒し、首の後ろが伸びるのを感じながら10秒キープ。その後ゆっくりと元に戻します。
• 次に後ろに倒し、首の前が伸びるのを感じながら10秒キープ。左右も同様に行いましょう。
• 勢いをつけず、呼吸を止めないように注意しながら行ってください。
肩甲骨を意識した肩回し
• 両肩を耳に近づけるようにすくめた後、肩甲骨を背中の中央に寄せるイメージでゆっくり後ろに回します。
• 1回の回転に3〜4秒ほどかけ、10回程度繰り返します。
• 反対回しも同じ回数を行いましょう。肩甲骨を大きく動かすことで血流が促進され、首や肩まわりのコリがほぐれやすくなります。
顎(あご)の食いしばりを緩める
ストレスを抱えていると、無意識に顎を食いしばっていることがあります。これは耳周辺の筋肉にまで負担をかけ、痛みを引き起こす原因のひとつです。
あいうべ体操
• 口を大きく「あ」「い」「う」「べ」と形作りながら動かします。声を出しても出さなくてもOKですが、一つひとつ丁寧に口を動かすのがポイントです。
• 口周囲や顎関節周りの筋肉がほぐれ、血行が良くなっていきます。無理のない範囲で繰り返しましょう。
頬の付け根を軽くほぐす
• 両手の指先(人差し指と中指)を頬骨の下に当て、やさしく円を描くようにマッサージします。
• 耳の近くから顎のラインにかけて、力を入れすぎないように注意しながら進めてください。
• 歯を食いしばっているときは、まず自覚し、一度口を少し開くなどして筋肉を緩めることが大切です。
温めて血行促進
首まわりや耳周辺を温めることで血行不良を改善し、筋肉の緊張を和らげるのも即効性のある対処法です。
蒸しタオルを活用
• タオルを軽く水で湿らせ、電子レンジで温めます。温めすぎに注意し、火傷しない温度で首や肩、耳周辺に当ててみましょう。
• タオルが冷めてきたら再度温めても良いです。じんわりと温めながら、軽く首や肩を回すとより効果的です。
入浴を利用
• できるだけ湯船に浸かり、首までしっかり温めるのがおすすめです。肩まで浸かった状態でゆったり深呼吸をすると、血行だけでなく副交感神経が働いてストレス緩和にも役立ちます。
2. 原因

次に、ストレスによる耳の痛みに至る主な原因を確認していきましょう。
デスクワークが長い方や、日頃からストレスを多く抱えている方には心当たりがあるかもしれません。
姿勢の乱れによる負担
長時間のデスクワークやスマホ操作などにより、首を前に突き出したような姿勢になりがちです。
これが続くと首や肩の筋肉に負担がかかり、血行不良やコリを招きます。
耳は首・肩・顎の筋肉や神経と隣接しているため、これらの緊張が結果的に耳の痛みとして現れることが多いのです。
顎関節への過度な負荷
ストレスが高まっている状態では、無意識に歯を食いしばったり、夜間に歯ぎしりをしたりしている可能性があります。
顎関節は耳のすぐ近くにあるため、負荷がかかると耳周辺の筋肉も連動して緊張し、痛みや違和感、耳鳴りなどを引き起こすことがあります。
自律神経の乱れ
精神的なストレスによって自律神経が乱れると、全身の血行や筋肉の緊張度をコントロールする機能がうまく働かなくなります。
耳の奥は細かな神経が集まる場所でもあるため、血行不良や神経の過敏反応によって痛みや不快感が発生しやすいのです。
中耳炎や外耳炎などの疾患
耳自体に炎症や感染症が起きている場合は、ストレッチやリラックスだけでは改善しにくいのが現実です。
もしも耳の痛みに加えて発熱、耳だれ、強い難聴などの症状があるときは、早めに耳鼻咽喉科へ行くべきです。
放置するとさらに症状が悪化する可能性があります。
3. 予防

一度「ストレスで耳が痛い」という状態になってしまうと、改善にはそれなりの時間やケアが必要です。
日頃からの予防策を意識することで、痛みや不快感が生じにくい体づくりを目指しましょう。
こまめな休憩と軽いストレッチ
デスクワーク時には、1時間に1回程度の休憩を取りましょう。
休憩といっても数分で構いませんが、その間に立ち上がって体を伸ばしたり、肩回しや首回しをするだけでも筋肉の緊張をほぐす効果があります。
パソコンやスマホを長時間見続けるのは、首や肩のみならず目や自律神経にも負担がかかるため、意識的に体を動かすことが重要です。
正しい姿勢を意識する
• 背筋を伸ばす: 背中が丸くならないよう、腰と背中を立てるイメージで座ります。
• 顎を引く: 頭が前に傾かないように顎を少し引き、耳・肩・骨盤が一直線になるよう意識してください。
• モニターの高さを合わせる: 目線と同じか、やや下にモニターの中心が来るのが理想です。
適切な姿勢をキープしやすいように、椅子やデスクの高さを調整することも大切です。
リストレストやフットレストなどを活用するのも有効な手段となります。
顎のリラックスを習慣化
顎の力みは思いのほか頻繁に起こるため、定期的に自分の顎の状態をチェックしましょう。
「食いしばっていないかな?」と気づいたら、口を軽く開けて緊張をゆるめます。
これだけでも耳への負担が軽減される可能性があります。
ストレス管理と睡眠
ストレスは筋肉の緊張だけでなく、自律神経の乱れも引き起こします。
趣味や軽い運動、呼吸法などで精神的なストレスを緩和し、十分な睡眠を確保することで回復力を高めましょう。
寝不足が続くと体の疲れが抜けにくくなり、痛みを感じやすくなります。
食事バランスの見直し
食生活が乱れると、栄養不足で筋肉や神経の修復がうまく進まず、ストレスへの抵抗力も下がります。
特にタンパク質(肉・魚・豆類)やビタミンB群、ミネラル(鉄分、マグネシウムなど)は疲労回復や神経の安定に役立つ栄養素です。
忙しい中でも意識的に摂取し、外食やコンビニ食であってもサラダや豆腐、サバ缶などの栄養源を取り入れてみてください。
4. 継続するためのコツ

対処法や予防法を頭で理解していても、実践しないと意味がありません。
継続してこそ体が変わり、耳の痛みも根本から改善されていきます。忙しい方でも無理なく続けるためのコツを紹介します。
1回数十秒でもOK! “小分けストレッチ”を習慣化
「ストレッチ=長い時間かかる」という先入観で敬遠してしまうことも少なくありません。
実際には、1回あたりのストレッチを数十秒から1分程度でいいので、短くこまめに取り入れるだけでも効果があります。
• メールを1本送り終えたら首を回す
• 会議が終わったら肩を大きく回す
• 席を立つタイミングで背伸びをする
このように日常の区切りとセットにすると習慣化しやすいです。
タイマーやアプリでリマインド
「気づいたら何時間も同じ姿勢で仕事していた」というのは、デスクワークあるあるです。
スマホのタイマーを1時間ごとにセットし、アラームが鳴ったら立ち上がってストレッチをするなど、強制的に習慣化できる仕組みを取り入れると、サボりにくくなります。
作業環境を整える
• イスやデスクを体に合わせる: 自分の身長に合わないイスやデスクだと姿勢が悪くなりやすく、首や肩への負担が増大します。
• モニターの位置を最適化: 目線とほぼ同じ高さに合わせることで、顎を前に突き出さずに作業できるようになります。
• デスク周りにストレッチグッズを置く: ボールや小型ローラーなど、気軽に筋肉をほぐせるアイテムを近くに置いておけば、思い立ったときにすぐケアできるでしょう。
小さな達成感を積み重ねる
「1週間毎日ストレッチを続けられたら、ちょっと良いコーヒーを買う」など、小さなご褒美を設定するとモチベーションを維持しやすくなります。達成感を感じることがストレッチ習慣の維持に大きく貢献します。
5. どうしても解決できない場合は早めに専門家へ相談

セルフケアを続けても耳の痛みが改善しない、あるいは症状がひどくなってきた場合は、早めに専門家へ相談しましょう。
医療機関(耳鼻咽喉科など)
強い耳鳴り、聴力低下、めまいなどを伴う場合は、ストレスの影響だけでは説明できない他の疾患が疑われるケースもあります。耳の痛みが気になるときは耳鼻咽喉科を受診して、まずは耳自体の異常がないか確認することが大切です。
整体やカイロプラクティック
骨格や姿勢のゆがみが原因で首・肩に極端な負担がかかり、それによって耳の痛みが発生している場合は、整体やカイロプラクティックの施術が効果を発揮することがあります。
プロに姿勢のくせや筋肉の状態をチェックしてもらい、必要に応じて骨格を整えてもらうと、根本的な改善につながる可能性が高いです。
ストレッチの専門家(パーソナルトレーナーや専門スタジオ)
自己流のストレッチではなかなか効果を感じられない、あるいは逆に痛みが増してしまうといった場合、ストレッチ専門スタジオやパーソナルトレーナーに相談してみるのがおすすめです。
プロの目線で体の歪みや可動域を細かくチェックしてもらい、正しい方法と頻度を指導してもらうことで、安全かつ効率的に症状を和らげられるでしょう。
まとめ

対処法
• 首・肩のストレッチを優先的に行う
• 顎の緊張を意識的にほぐす(あいうべ体操など)
• 蒸しタオルや入浴で温めて血行促進
• 強い痛みや耳鳴り、めまいがあるなら医療機関へ
原因
• デスクワークやスマホ利用による姿勢の乱れ
• 歯ぎしり・食いしばりで顎に負担がかかる
• 自律神経の乱れによる過緊張と血行不良
• 中耳炎など疾患の可能性も否定できない
予防
• 1時間に1回の休憩+軽いストレッチ
• 姿勢を正して首・肩への負担を軽減
• 顎の力みをこまめにチェックしリラックス
• 十分な睡眠とストレス管理で自律神経を整える
• バランスの良い食事で疲労回復力を底上げ
継続するためのコツ
• 小分けにして隙間時間でストレッチを取り入れる
• タイマーやアプリでリマインドし、サボりを防ぐ
• デスク周りの環境を整えて無理なく行えるようにする
• 小さな目標やご褒美で達成感を積み重ねる
どうしても解決できない場合は早めに専門家へ相談
• 耳鼻咽喉科で耳の疾患をチェック
• 整体やカイロプラクティックで姿勢・骨格の矯正
• パーソナルトレーナーや専門スタジオで正しいストレッチを学ぶ
ストレスによる耳の痛みは、一見すると放置しても問題ないように思われがちですが、実際には首や肩、顎の不調につながってさらなるコリや痛みを招くことが多いです。
軽視せず、早めの段階でセルフケアに取り組み、必要に応じて医療機関や専門家の力を借りることで、健やかな日常を取り戻せるはずです。
あなたがストレスから解放され、耳の痛みなく快適に過ごせるよう、ぜひ今回紹介したポイントを日々の生活に取り入れてみてください。