横になろうとすると、めまいが起きてしまうことに不安を感じていませんか?
結論をいうと、こうした「横になるとめまいが起きる」症状には、緊急性を疑うケースと生活習慣が影響しているケースがあります。
実は…めまいは放置すると習慣化しやすく、さらに悪化していく恐れも否定できません。
この記事では、ストレッチの専門家が対処法から予防策まで詳しく解説します。
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目次(Contents)
1.対処法

「横になるとめまいが起きる…どうにか今すぐ落ち着かせたい」という場合に役立つ、即効性と安全性を重視した対処法をまとめました。
めまいの原因が一時的な要素によるものであれば、以下の方法を試すことで症状が軽減する可能性があります。
ただし、強い痛みや吐き気を伴う、あるいはめまいが頻繁に起こる場合は速やかに医療機関を受診してください。
ここでは、日常的に行いやすい3つのステップに分けて紹介します。
ゆっくりと姿勢を変える
急に横になる、急に起き上がるなど、姿勢を瞬時に変えると内耳のリンパ液が一時的に偏り、平衡感覚が乱れやすいと言われています。
ポジションチェンジはゆっくり
いきなり寝転がるのではなく、ベッドや床に腰を下ろすようにして時間をかけて横になりましょう。
起き上がる時も同様です。
心拍数の上昇を抑える
急に動くと血圧の変動が起こりやすく、めまいを誘発します。ゆっくりと深呼吸をして身体を落ち着かせながら体勢を変えることで、めまいを感じにくくする効果が期待できます。
首まわりや肩のストレッチで血流を促す
横になるときにめまいが起こる背景には、首の筋肉の緊張や肩こりが絡む場合もあります。
血行不良により酸素不足が起こり、脳や内耳へ十分な血液が回りにくくなることで、めまいが引き起こされる可能性があるのです。
首をゆっくり回す
椅子や床に座った状態で背筋を伸ばし、首を大きくゆっくり回します。
前、右、後ろ、左と一周する間に呼吸を止めないようにして、痛みを感じない範囲で行ってください。
肩をすくめて下ろす
いったん肩をすくめて耳に近づけるようにぎゅっと力を入れ、数秒キープしてストンと下ろします。
これを数回繰り返すと血流が促進され、首肩周りの緊張を緩和できます。
緊急を要する場合はすぐに身体を安定させる
めまいに加えて、吐き気や激しい頭痛、発熱、呼吸の乱れなどがあるときは無理をせず、ただちに身体を安定させましょう。
自分で歩くのが困難であれば、周囲の人の助けを借りるか救急車を呼ぶことも検討してください。
安全な場所に移動
家庭内であれば周囲にものが少ない場所やベッドに横になり、転倒を防ぎます。
外出先であれば無理に歩き回らず、近くのベンチや段差がない場所に腰掛けましょう。
応急処置
深呼吸を繰り返し、落ち着けるように心がけます。頭を低くしすぎないように留意し、身体をなるべく水平に近い姿勢にして余計な負担を減らしましょう。
2.原因

横になるとめまいが起きる背景には、生活習慣や身体の使い方の問題だけでなく、病気や心理的要因などさまざまな要素が絡み合っています。
ここでは代表的な原因を5つに絞って解説します。
内耳の障害
めまいの多くは平衡感覚を司る内耳のトラブルから来るとされています。
• 良性発作性頭位めまい症(BPPV)
特定の頭の向きや体勢により、内耳の耳石が動いてめまいを引き起こすもの。
横になると発症しやすい特徴があります。
• 前庭神経炎
ウイルス感染などで前庭神経に炎症が起こり、めまいを生じます。
ウイルス性の感冒などがきっかけになることがあります。
血圧の変動
横になるときや起き上がるとき、血圧が急激に上下することで脳への血流が一時的に減少し、めまいが起こるケースもあります。
• 起立性低血圧
素早く立ち上がったときなどに血圧が下がりめまいが生じる。
横になる際にも、身体の角度変化によって血流が一時的に不安定になることがあります。
• 高血圧
血圧が常に高い状態だと細い血管に負担がかかり、姿勢を変えるだけでめまいを誘発する可能性が高くなります。
筋肉のコリや体液の偏り
首や肩のコリ、背骨周辺の歪み、リンパや血液がスムーズに循環していない状態などが影響し、バランス感覚を乱すことがあります。
• 肩こり・首こり
パソコンやスマホを長時間使用するデスクワークの方に多い症状。
筋肉がこわばることで血液やリンパの流れが悪化し、内耳への栄養補給が滞ることがあります。
• 体内の水分バランス
過剰な塩分摂取や水分不足で体内の水分量が偏ると、耳のリンパ液の量にも影響を及ぼし、めまいを引き起こす原因になりやすいです。
ストレスや睡眠不足
心身のバランスが乱れると自律神経も乱れ、めまいを起こしやすくなります。
• 自律神経の乱れ
自律神経は交感神経と副交感神経のバランスが大切です。
寝る前までスマホを見ていたり、過度なストレスを抱えていたりすると、身体が十分にリラックス状態に入れず、めまいの原因となる場合があります。
• 睡眠不足
夜更かしや就寝時間が不規則だと、身体が回復する時間が短くなり、疲労が蓄積しやすくなります。
疲れが溜まった状態で横になると、予期せぬタイミングでめまいを感じることもあります。
耳鼻咽喉科系や神経系の疾患
長引くめまいの裏には、時に深刻な疾患が潜んでいる場合もあります。
• メニエール病
内耳の内リンパ水腫が原因でめまい、耳鳴り、難聴などの症状がセットで起こる病気です。
• 脳血管障害
脳梗塞や脳出血などは重篤なめまいを引き起こす可能性があります。
突然の激しいめまいとともに片側の手足が動かしにくい、ろれつが回らないなどの症状がある場合は即受診が必要です。
3.予防

めまいを予防するには、「生活習慣」と「身体の使い方」を見直すことが重要です。
ここでは、忙しいデスクワーカーでも日常に取り入れやすい対策を紹介します。
どれもシンプルな習慣ですが、積み重ねれば横になるときの不快なめまいを軽減する一助となるはずです。
姿勢を改善し、身体の負担を軽減する
長時間のデスクワークによって肩や首に負担がかかることは避けられません。
• 椅子や机の高さを調整
PC画面の上端が目の高さにくるように、椅子と机の高さを設定しましょう。
リストレストなどを活用することで首や肩への負担が軽減されます。
• 定期的な休憩とストレッチ
1時間に1回は席を立ち、肩を回したり軽いストレッチを行って血流を促しましょう。
こまめな体操がコリの予防に効果的です。
バランスの良い食事と水分補給
食事や水分補給が不十分だと、血液やリンパの流れが滞り、めまいのリスクが高まります。
• 塩分を控えめに
塩分の摂りすぎは高血圧を招きやすく、めまいの要因となる場合があります。
加工食品や外食が多い方は特に注意が必要です。
• 適切な水分量
デスクワークで意外と汗をかいていなくても、身体は水分を消耗しています。
意識的に水を飲む習慣を身につけると、体内の水分バランスを保ちやすくなります。
ストレス管理
ストレスが溜まると自律神経が乱れ、めまいを起こす可能性が高まります。
• リラクセーションの時間を持つ
入浴時に湯船で深呼吸をしたり、お気に入りの音楽を聴きながらリラックスしたりする時間を意図的に作りましょう。
• 適度な運動習慣
軽い有酸素運動やウォーキング、ヨガなどはストレスを和らげ、自律神経を整える効果があります。
運動が苦手な方は無理のない範囲で取り入れてみてください。
規則正しい睡眠
寝不足や不規則な睡眠は、横になるとめまいが起きる原因を増長させます。
• 就寝前のスマホ使用を控える
ブルーライトは交感神経を刺激し、脳が活性化して眠りが浅くなりがちです。
• 決まった就寝時間・起床時間
毎日同じ時間帯に寝て同じ時間帯に起きることで、身体のリズムが整い、自律神経の乱れが改善しやすくなります。
4.継続するためのコツ

対処法や予防策は「続けること」によって初めて効果を高めてくれます。
しかし、「忙しくて続けられない」「飽きてしまう」という声も少なくありません。以下は長期的に習慣化するためのポイントです。
目標を明確に設定する
「めまいの回数を月に○回まで減らす」「寝起きを楽にする」など、明確なゴールを設定しましょう。
数値目標を作るとモチベーションが維持しやすくなります。
小さなステップに分解する
「毎日30分のストレッチ」は負担に感じる人もいます。
そこで、最初は「寝る前に1分間、肩を回すストレッチをする」など、小さなステップからスタートする方法がおすすめです。
達成感を積み重ねることで、自然と次のステップに進みやすくなります。
できたことを振り返る
1日の終わりに「今日できたストレッチ」「今日意識できた姿勢」など、ポジティブな面を振り返る習慣をつけましょう。
日々の達成感が続ける原動力になります。
アプリや手帳にチェックを入れるだけでも、視覚的に達成度がわかるのでおすすめです。
時間帯とタイミングを固定する
ストレッチや軽い運動、リラクセーションなどの習慣は、起床後や就寝前、仕事の休憩時間などあらかじめ時間を固定すると忘れにくくなります。
ルーティン化することで「やらないと気持ち悪い」状態を作り出し、三日坊主を防ぎます。
5.どうしても解決できない場合は早めに専門家へ相談

めまいは、セルフケアである程度和らげられるものもあれば、専門的な知見が必要になる場合もあります。
特に以下のような状況があるなら、早めに医療機関または整体、ストレッチ専門のトレーナーへ相談することを検討しましょう。
1週間以上めまいが続く、頻繁に再発する
めまいが長引くと、身体だけでなく精神的にも大きなストレスを受けます。
自分の判断で対処しきれないケースでは、まず耳鼻咽喉科などで診断を受けましょう。
吐き気・嘔吐をともなうなど、強い症状がある
吐き気や嘔吐を伴うような強いめまいは、重大な疾患のサインである可能性があります。
検査を受け、必要なら薬物治療や点滴など適切な処置をしてもらいましょう。
根本的に身体の歪みや筋肉の問題がある
「姿勢が常に悪い」「身体の歪みを感じる」という方は、整体やストレッチの専門家に相談することで根本的なアプローチが可能です。
普段の姿勢矯正や筋バランスの改善、専用プログラムの提案など、プロの知見が得られます。
専門のトレーナーによる指導を受けたい
「自分がやっているストレッチが合っているかわからない」「早く効果を出したい」と感じる場合は、ストレッチ専門トレーナーに指導を仰ぐのがおすすめです。
個々の体質や目的に合わせたメニューを作成してくれるため、効率的に改善を目指せます。
まとめ

• 対処法
┗急に動かずゆっくり姿勢を変える・首肩を温めるストレッチ・症状が強い場合は身体を安定させる
• 原因
┗内耳の障害・血圧の変動・筋肉のコリや体内水分の偏り・ストレスや睡眠不足・耳鼻咽喉科や神経系の病気
• 予防
┗姿勢を整える・バランスの良い食事と水分補給・ストレス管理・規則正しい睡眠
• 継続するためのコツ
┗目標設定・小さなステップに分解・できたことを振り返る・時間帯とタイミングを固定
• どうしても解決できない場合は早めに専門家へ相談
┗長期間続く、頻繁に再発・吐き気など強い症状・身体の歪み・プロの指導を受けたいとき
横になるとめまいが起きる原因は複雑で、生活習慣や身体の使い方、そして内耳や神経系の問題など多岐にわたります。
まずは日常生活でのセルフケアを心がけ、それでも改善が見られない場合は医療機関や整体、そしてストレッチの専門家の力を借りて、根本的な改善を目指しましょう。
めまいに悩む方々が、心から安心して横になれる日々を取り戻せるよう願っています。