【ストレッチ専門家】野球肘になったらやってはいけないことは?トレーナーが5つのポイントを解説!

野球の練習中や日常動作で肘の痛みや違和感、気になっていませんか?
結論をいうと、野球肘を放置してしまうと痛みが長引くだけでなく、最悪の場合は手術が必要になることもあります。

実は…普段から無理のあるフォームや負担を見過ごしていると、さらに悪化する恐れがあります。
野球肘はいわゆる「肘への過度な負担」が原因で起こる障害の総称です。

特に小・中・高校生など成長期の子どもから、社会人の草野球・趣味で続ける方に至るまで、多くの人が悩まされています。
さらにデスクワークが増えている現代、休日に野球を趣味で楽しむ大人も決して少なくありません。

この記事では、肘の痛みに不安がある方や、これから野球を再開したいと思っている方にとって、少しでも助けになるようにストレッチの専門家が対処法から予防策まで詳しく解説します。

監修トレーナー
タラケン@tarakenko

▼出張整体ストレッチ東京 代表
ダイエット検定の元試験官であり、世界13ヶ国以上の国籍、1~82歳の幅広い世代を担当。

▽所有資格
・日本ダイエット健康協会認定 生活アドバイザー
・日本ダイエット健康協会認定 プロフェッショナルアドバイザー
・日本ダイエット健康協会認定 ダイエットインストラクター
・日本ダイエット健康協会認定 コーディネーター
・MGA認定 コアバランスストレッチ
・国際ライセンス ITEC認定 解剖生理学

………………………………………………………….

1. 対処法

野球肘の痛みや違和感を抱える際に、どのようなアクションを取るべきかは非常に大切です。
初期対応を誤ると痛みが長引くだけでなく、後遺症に悩まされるケースもあります。肘は一度痛めると、全身のバランスやフォームに影響を与え、さらなる負担を生み出しかねません。

ここでは、痛みが出た直後に役立つ対処法と、「野球肘になったらやってはいけないことは?」の観点で避けるべき行動もあわせて解説します。

まずは投げる動作を一時的に中止

野球肘の痛みを感じ始めたら、最初のステップとして「投げる動作」を中断しましょう。
痛みをこらえて投球を続けると、炎症が進行して完治までの時間が大幅に延びる可能性があります。

特に野球肘は、繰り返し肘に負担をかけることで軟骨や靱帯が損傷し、炎症や変性を引き起こすものです。
少しでも痛みや違和感を覚えたら無理をせず、練習や試合を早めに切り上げる決断が必要になります。

《ここがポイント!》

• 早期に投げる動作をやめることで、症状の悪化を防ぐ

• 痛みを我慢することが一番良くない

RICE処置(Rest, Ice, Compression, Elevation)を行う

次に大切なことは、急性期におけるRICE処置です。

Rest(安静): 使わないことで炎症を落ち着かせる

Ice(冷却): 痛みや炎症の軽減

Compression(圧迫): 血流をコントロールし腫れを抑える

Elevation(挙上): 腫れを抑え痛みを緩和

一般的に、痛みの出てすぐはアイシングで炎症を鎮めることが有効です。
特に投球後や強い痛みがあるときは、数十分程度しっかりと冷やしましょう。

その際、氷嚢やアイスパックをタオルで巻くなど、冷やしすぎにならないよう注意が必要です。
また、医療用のサポーターやテーピングなどで適度な圧迫を加えるのもおすすめです。

痛み止めの使用は慎重に

痛みが強い場合、市販の痛み止めを使う方も少なくありませんが、これは要注意です。
痛み止めを使用すると、一時的に痛みを感じにくくなり「まだ大丈夫だ」と勘違いして動きすぎる恐れがあります。

実際の負担は軽減されておらず、むしろ炎症を悪化させる場合も。
どうしても耐え難い痛みがある際には医師の診断を受け、その上で処方薬を使うことをおすすめします。

「野球肘になったらやってはいけないことは?」を意識

対処法の中でも特に重要なのが、無理なリハビリや自己流のトレーニングを避けることです。
たとえば痛みを感じるにもかかわらず「軽めに投げれば大丈夫」といった安易な考えでキャッチボールを再開すると、軟骨や靱帯へさらなるダメージを与えかねません。

正しいメニューを組むには、必ず専門家の指導を仰ぐことが大切です。

《やってはいけない例》

• 痛みを感じる段階での強度の高いノックや遠投

• 痛み止めで誤魔化しての練習続行

• 自己判断でのストレッチ強行(強い痛みがある場合は要注意)

最初の段階で無理を重ねると、肘の状態が「悪化→安静期間が長期化→さらに筋力・体力が低下」と悪循環に陥ります。
こうした背景から、まずは痛みの原因を探りつつ、必要に応じて医療機関や整体院、ストレッチ専門家への相談を優先しましょう。

2. 原因

原因を正しく理解することで、対処や予防にも役立ちます。
野球肘は主に「使いすぎ症候群」の一種とされており、投球動作による繰り返しの負荷が肘の内側や外側、場合によっては後方にかかることで発症すると考えられています。

さらに成長期の骨端線が未成熟の少年野球の選手に多く見られる点も特徴的です。

フォームの乱れ・過度の投球

フォームの乱れにより、肘に余計なストレスが集中することが大きな原因のひとつです。
特に以下のようなパターンが多く見られます。

リリース時に肘が下がるフォーム

体幹の回転不足により肩・肘に頼るフォーム

腕を過度にひねってスライダーやカーブを乱投する

また、1日に投げる球数が極端に多い、休息日なしで連投を続ける、といった過度の投球が肘への負担を増大させます。
プロ選手のようにしっかりトレーニングやケアをしている場合ならまだしも、十分なケアを行わないアマチュア選手の場合は特に注意が必要です。

成長期特有の骨・軟骨の未成熟

子どもや思春期の選手は、骨や軟骨がまだ十分に発達していません。
そのため、大人と同じような強度で練習をこなしてしまうと、肘の骨端線や軟骨に負荷がかかりやすくなります。

こうした成長期特有の構造的なリスクは、速球や変化球を投げすぎることでさらに高まります。

筋力・柔軟性のアンバランス

野球肘が起こる背景には、肘だけの問題ではなく、全身の筋力バランスや柔軟性の問題が影響していることも少なくありません。
特に以下のような要素が原因となります。

肩甲骨周りの柔軟性不足 → 肩がしっかり後ろに引けず、肘だけに負担が集中

体幹の筋力不足 → 姿勢が崩れやすく、投球フォームが不安定になる

下半身との連動不足 → 体全体の力を使いきれず、肘に頼りすぎる

こうした要素が積み重なると、肘への負荷が慢性的に増大し、野球肘発症のリスクが高まります。

適切な休息・ケアの不足

原因として忘れてはならないのが、休息やケア不足です。
デスクワークの方や普段野球を趣味で楽しんでいる方でも、練習後のクールダウンやストレッチを十分に行わず、「痛くなるまで放置」してしまうケースがよくあります。

痛みが出るまで何も対策をしないと、気づいた時には炎症が進んでおり、復帰までに長い時間を要することも。
投球後はアイシングを行ったり、翌日は軽めのキャッチボールだけにとどめるなど、投げるだけでなく「回復させる時間」を意識することが重要です。

3. 予防

原因を理解したら、次は予防策を押さえておきましょう。
野球肘は正しい予防ができていれば、そもそも深刻な痛みに悩まされるリスクを大幅に減らすことができます。

将来にわたって野球を楽しむためにも、以下のポイントを意識してみてください。

正しいフォームの習得

野球肘のリスクを減らすために欠かせないのが、正しい投球フォームの習得です。
フォーム修正のポイントとしては、以下が挙げられます。

肘が下がらないように注意

体の回転を意識して、腕だけで投げない

ステップ足や軸足の使い方を見直す

野球の専門家やコーチ、トレーナーにチェックしてもらい、動画撮影などを活用して自分のフォームを客観的に分析しましょう。
特に大人になってから改めて野球を再開した方は、昔と体のバランスが変わっている場合があります。

今の自分の身体に合わせたフォームを身につけることが重要です。

投球数・練習量の管理

練習熱心な方ほど陥りやすいのが、投球数や練習時間の増えすぎです。
特に少年野球や学生野球では、先発・リリーフなど複数ポジションで投げ続ける子も多いでしょう。

結果として肘を酷使し、野球肘を招く原因になります。

1日に投げる球数の制限を決める

週に何日かは投げない日を作る

試合後、連投は避ける(肩・肘への休息日を設ける)

大人の場合でも、週末の草野球や会社の同好会などで1日中投げ続けるのではなく、適度に休憩を挟むように心がけましょう。
体を酷使しすぎると回復が追いつかず、慢性化した炎症がなかなか治らない状態に陥ります。

ストレッチの徹底

ストレッチは、筋肉をほぐし、関節の可動域を高め、ケガの予防につながる非常に有効な手段です。
特に以下の部位のストレッチは、肘の負担を減らすうえで欠かせません。

肩関節まわり(三角筋、肩甲下筋、肩甲上腕関節の可動域確保)

上腕三頭筋・上腕二頭筋(肘関節をサポート)

前腕の屈筋群・伸筋群(ボールの握りやリリースに関わる筋群)

体幹・股関節まわり(下半身と上半身の連動性を高める)

事前のウォームアップと事後のクールダウン、どちらにもストレッチを組み込むことで、筋肉や関節への負担を軽減しやすくなります。
「野球肘になったらやってはいけないことは?」というテーマの観点でいえば、痛みがある状態での無理なストレッチは逆効果なので注意が必要です。

痛みが治まってから、正しいフォームで行うようにしましょう。

筋力トレーニングとバランス強化

野球肘予防では、肘そのものの強化だけでなく、体全体の筋力バランスを整えることが重要です。
特に下半身や体幹の筋力を強化することで、投球時に肘にかかる負担を分散できます。

スクワットやランジ、プランクなどの基本的なトレーニングを取り入れるだけでも、体幹の安定性が増し、フォームも安定します。

また、肩周りのインナーマッスル(ローテーターカフ)を鍛えるエクササイズ(チューブトレーニングなど)も有効です。肩甲骨の可動域を確保しつつ、肩周りの小さな筋肉を鍛えることで、投球時の衝撃を吸収しやすくなり、肘への負担を軽減します。

適切な用具選び

見落とされがちですが、グラブやシューズなどの用具が合っていないとフォームに支障をきたし、結果的に肘を痛める原因になることがあります。
特にグラブは大きさや使い心地がプレーに直結しやすいので、自分の手にしっかり合うものを選びましょう。

またシューズもクッション性やフィット感を確認し、足への負担を軽減することで下半身のブレを抑えると、投球フォームの安定に繋がります。

4. 継続するためのコツ

いくら良い対処法や予防策を知っていても、長続きしなければ意味がありません。
継続できるよう工夫を凝らしていきましょう。大人であれば仕事や家事などの合間に練習時間を確保する必要があり、子どもであれば勉強や他の部活動との両立が課題になるでしょう。

ここでは、日々のストレッチやトレーニングを無理なく続けるためのポイントを紹介します。

目標設定を明確に

人間は「何のために」行うのかが曖昧だと、すぐにやる気を失いがちです。
「肘の痛みをなくして試合で活躍したい」「将来、長く野球を楽しむために今から肘の負担を減らしたい」など、具体的な目標を設定しましょう。

ビジネスでも同じように目標管理が重要ですが、スポーツや健康管理にも効果的に働きます。

スケジュールを組み込む

忙しい社会人や学生にとって、スケジュール管理は必須です。
練習日だけでなく、ストレッチを行う時間をあらかじめカレンダーやアプリに組み込むと、実行率が上がります。

短時間でも毎日コツコツ積み重ねることで、筋力や柔軟性は確実に向上します。
時間が取れない日は「簡単なストレッチだけは必ず行う」など、最低ラインを設定しておくと良いでしょう。

小さな成功体験を積む

たとえば、肘の痛みが少し緩和した、あるいは投球フォームが安定してきたといった小さな変化を見逃さずに、自分を褒めることも大切です。
人間は変化を実感するとやる気が継続します。

練習ノートや体調記録アプリなどを活用して、少しでも改善の兆しがあれば書き留めておくとモチベーションが維持しやすくなります。

周囲のサポートを得る

一人で頑張るのはどうしても限界があります。
家族やチームメイト、コーチなどに協力を依頼して、適度なフィードバックやサポートを受けましょう。

デスクワーク中心の方であれば、同僚と一緒に健康管理を行うなど、環境づくりを行うと継続が楽になります。
周囲に自分の目標や練習内容を共有しておくと、やらざるを得ない状況を作る意味でも効果的です。

定期的にメニューを見直す

トレーニングやストレッチメニューは、続けるうちに身体が慣れてきたり、逆にマンネリ化して続かなくなることがあります。
その場合は、「専門家や信頼できるコーチに相談し、定期的にメニューを更新」するのも一つの手段です。

新しいメニューを加えたり、達成度合いに応じて難易度を調整すると、飽きにくく、より高い効果が得られます。

5. どうしても解決できない場合は早めに専門家へ相談

どれだけケアをしても痛みが引かない、もしくは痛みが増している場合は、自己判断をやめて早めに専門家へ相談することが最善策です。
野球肘は軽度のうちはストレッチや休息で回復することもありますが、重症化すると長期間のリハビリが必要になったり、手術が避けられないケースもあります。

医療機関(整形外科など)

痛みが長引く、腫れや熱感が強い場合は、整形外科を受診しましょう。
画像診断(X線、MRIなど)を通じて、骨や軟骨に損傷がないか正確に判断できます。

成長期の子どもの場合は特に、骨端線へのダメージの有無を早期に確認しておくことが大切です。
適切な治療方針を立てるうえでも、医師の診断は欠かせません。

整体・接骨院

整形外科の診断と並行して、整体や接骨院で体のバランスを調整することも効果的です。
肘に負担をかけている原因が、実は肩甲骨や骨盤の歪み、筋肉のアンバランスにある場合も少なくありません。

整体では、関節や筋肉を手技でほぐしたり、姿勢矯正を行うことで、根本原因を改善できることがあります。

関連:出張整体ストレッチのメリット

ストレッチ専門家・パーソナルトレーナー

フォームの修正や日常的なストレッチメニューの組み立てなど、個別指導を受けられるのがパーソナルトレーナーです。
医療機関では炎症の治療がメインとなる場合が多いですが、再発防止やスポーツパフォーマンス向上の観点からは、ストレッチ専門家やトレーナーの知識が非常に役立ちます。

痛みが軽減した後のリハビリや本格的なトレーニングを安心して行うためにも、専門家のアドバイスを取り入れましょう。

まとめ

対処法

投球を一時的に中断し、RICE処置(Rest, Ice, Compression, Elevation)を実施。
痛み止めの乱用や無理なリハビリは避け、専門家の指導を仰ぐ。

原因

フォームの乱れ、成長期の骨・軟骨の未成熟、筋力・柔軟性のアンバランス、休息不足が主な要因。
適切なフォームや練習量の管理が必要。

予防

正しい投球フォームの習得、投球数の制限、ストレッチの徹底が重要。
筋力と柔軟性をバランスよく向上させ、野球肘のリスクを軽減する。

継続するためのコツ

明確な目標設定、スケジュール化、小さな成功体験の積み重ねでモチベーションを維持。
周囲のサポートを得ながら、定期的にメニューを見直す。

どうしても解決できない場合は早めに専門家へ相談

痛みが長引く、腫れや熱感が強いときは医療機関での診断が最優先。
整体やストレッチ専門家のサポートを合わせて受けることで、根本的な原因改善と再発防止に効果的。

「野球肘になったらやってはいけないことは?」という疑問の答えは、痛みを我慢したまま無理に投げ続けたり、自己流のストレッチやトレーニングを行うことです。
症状が出始めた段階で正しく対処し、予防策を徹底することで、痛みから解放され、野球を存分に楽しめる可能性は大いに高まります。

日常生活や仕事にも影響が出るほどの肘痛に悩まされないためにも、今回紹介したポイントをぜひ実践してみてください。

ABOUTこの記事をかいた人

▼出張整体ストレッチ東京 代表
ダイエット検定の元試験官であり、世界13ヶ国以上の国籍、1~82歳の幅広い世代を担当。

▽所有資格
・日本ダイエット健康協会認定 生活アドバイザー
・日本ダイエット健康協会認定 プロフェッショナルアドバイザー
・日本ダイエット健康協会認定 ダイエットインストラクター
・日本ダイエット健康協会認定 コーディネーター
・MGA認定 コアバランスストレッチ
・国際ライセンス ITEC認定 解剖生理学