肩甲骨のあたりがじわじわ痛んで、仕事に集中できなくなっていませんか?
結論をいうと、肩甲骨下の背中の痛みはストレッチを中心にした対処法をしっかり行えば緩和・改善が期待できます。
実は…この痛みを放置しておくと、慢性的なコリや姿勢の乱れにつながり、生産性の低下を招いてしまうことも。
この記事では、ストレッチの専門家が対処法から予防策まで詳しく解説します。ぜひ最後まで読み進めてみてください。
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目次(Contents)
1. 対処法
ストレッチで即時緩和を狙う
肩甲骨下の背中の痛みがあるとき、まず考えたいのは「今ある痛みを軽減するにはどうするか」という緊急性の高いアプローチです。
痛みを抱えたままでは仕事の効率も下がりますし、何よりつらいですよね。そんなときに即座に役立つのが、専門家が推奨するストレッチ法です。
ここでは、デスクワークの合間や仕事終わりでも簡単に取り組めるストレッチ方法を紹介します。
背中全体を緩める「キャット&カウ」ストレッチ
• 四つん這いになり、両手は肩幅・両膝は腰幅に開きます。
• 息を吐きながら背中を丸め、肩甲骨周辺をしっかり引き伸ばします(キャットの姿勢)。
• 息を吸いながら背中を反らし、胸を開きます(カウの姿勢)。
ポイント
• 背中だけでなく肩甲骨下のあたりを意識して動かすことが大切。
• 呼吸と動作を連動させることで筋肉に十分に酸素を行き渡らせ、緊張をほぐします。
椅子を使って行う「背中伸ばし」ストレッチ
• 椅子に浅めに座り、両腕を前に伸ばします。
• 手を組んだ状態で背中を丸めるようにゆっくりと前に倒れ、肩甲骨周辺に伸びを感じるまで腕を前方に突き出します。
• 息をゆっくり吐きながら10秒キープ。数回繰り返します。
ポイント
• 腰を丸めすぎないよう注意しつつ、背中上部から肩甲骨下部まで広くストレッチさせましょう。
• デスクワークの合間に1〜2分でも行うと、重苦しい痛みがかなり緩和することが多いです。
肩甲骨下〜腰部まで包む「タオルストレッチ」
• タオルの両端を持ち、腕をバンザイするように頭上に上げます。
• ゆっくりと腕を後ろに引き下げながら、肩甲骨周辺を伸ばします。
• 次にタオルを頭の後ろで左右交差させるようなイメージで軽く引き合うと、肩甲骨から背中中央にかけて伸びを感じやすくなります。
ポイント
• 痛みがある場合は無理をせず、軽めに動かして徐々に可動域を広げましょう。
• 肩だけでなく背中全体、特に肩甲骨下の筋肉をターゲットにするイメージを大切にしてください。
どのストレッチも激しい運動が不要なため、オフィスや自宅で気軽に試せます。
ただし、痛みが強すぎる場合やストレッチ中に悪化するようなら、無理に続けず別の対処が必要になります。
温めて血行を促進する
冷えや緊張によって筋肉が固まっているときは、痛む部分を温めることで血行を改善し、痛みを緩和しやすくなります。
使い捨てカイロや温熱シートを患部に当てる、入浴で体をじっくり温めるなど、家庭でも簡単にできる方法です。
特にシャワーだけで済ませるのではなく、湯船に肩甲骨までしっかり浸かることで、疲労回復とリラックス効果が高まります。
温めのコツ
• 入浴は38〜40℃程度のぬるめの湯を15分ほど浸かると、筋肉を緩める効果が高まります。
• カイロを直接肌に貼らないようにし、やや上着の上から温めると低温やけどを防げます。
• 温める前後に軽いストレッチを組み合わせると、筋肉がより柔軟になります。
姿勢を補正するサポーターの活用
即時緩和という意味では、姿勢をサポートする補正ベルトやサポーターも選択肢になります。
猫背や巻き肩が原因で肩甲骨下部に負担がかかっている場合、これらの姿勢矯正グッズを使うと筋肉の偏りを一時的に整えてくれます。
ただし、ずっと依存するのではなく、一時的なサポートとして活用しながら、根本的なストレッチや筋力強化を並行して行うことが重要です。
2. 原因
対処法を実践するだけでなく、なぜ背中に痛みが起こっているのかを知ることは、根本改善への近道です。
ここでは、肩甲骨下の背中に痛みを引き起こしやすい主な原因を3つに分けて説明します。
長時間のデスクワークや不良姿勢
最も多い原因は、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用などによる不良姿勢です。
前かがみの姿勢が続くと、背中の筋肉、特に肩甲骨下のあたりが伸ばされたまま硬直し、血行不良を起こしやすくなります。
さらに、パソコンの画面やスマホを覗き込むときに首が前に突き出る「ストレートネック」状態になることで、肩甲骨まわりの負担が一段と増大します。
不良姿勢のチェックポイント
• モニターの高さは目線よりやや下程度か?
• 肘が自然に90度前後に曲がるよう机と椅子の高さを合わせているか?
• 椅子の背もたれを有効活用して背中を支えているか?
これらの要素が合っていないと、知らず知らずのうちに姿勢が崩れ、肩甲骨下部の痛みにつながります。
筋力低下と柔軟性不足
運動不足による背中や肩甲骨周りの筋力低下、または過度なトレーニングで特定の筋肉だけが硬くなっている状態も原因の一つです。筋肉には「柔軟性があること」「必要な筋力があること」の両方が重要。特に肩甲骨周辺は、背骨と肩関節をつなぐ要であり、ここが硬くなると肩こりや首こりだけでなく、背中全体にも痛みが及びやすくなります。
筋肉のアンバランスがもたらす影響
• 背中の筋力が弱いまま肩だけ使う → 肩甲骨を支えきれず痛みが出やすい。
• 前面の筋肉(胸や腹筋)ばかり鍛える → 背面とのバランスが崩れ、猫背になりやすい。
• ストレッチ不足 → 筋肉が硬まったままの状態で血行が悪くなり、痛みやコリが蓄積。
ストレスや疲労の蓄積
意外に見落とされがちなのが精神的ストレスや疲労の影響です。
ストレスがかかると、自律神経のバランスが乱れ、筋肉が緊張しやすくなります。
背中の筋肉も例外ではなく、疲労を感じているときほど無意識に肩をすくめるなどして筋肉をこわばらせてしまうことがあります。
結果として、肩甲骨下部から背中の中央にかけての張り感や痛みへとつながりやすいのです。
3. 予防
背中の痛みが落ち着いたとしても、放置すると再発や慢性化のリスクがあります。
そこで、痛みが出にくい体づくりのための予防策を紹介します。
こまめなストレッチとエクササイズ
肩甲骨下部の痛みを予防するには、使いすぎる部分と使わなさすぎる部分のバランスを整えることが大切です。
• 1日数回の軽いストレッチ
デスクワーク中に1〜2時間おきに席を立ち、肩甲骨周辺を動かしてあげるだけでも違います。
先述の「椅子での背中伸ばし」や「タオルストレッチ」を短時間で実践すると、血行促進と筋肉のリラックス効果が得られます。
• 背中や体幹を鍛える軽い筋トレ
プランクや軽いダンベル体操などで体幹や背筋群を強化すると、肩甲骨を支える基礎的な筋力がつき、痛みが出にくくなります。
無理なく週2〜3回程度を目安に取り組むと良いでしょう。
正しい姿勢を意識しやすいデスク環境づくり
再発予防には、長時間座る環境を整えることが欠かせません。
例えば、以下のような工夫が効果的です。
• 椅子の高さ調節
机に対して肘が直角に近い角度になるよう椅子の高さを調整すると、背中や肩への負担が軽減します。
足裏がしっかり床に着くようにフットレストを使っても良いでしょう。
• モニターの位置
目線がモニターの上端あたりに来るようにする。
高すぎても低すぎても首や背中に負担がかかるので注意が必要です。
• キーボード・マウスの配置
肩幅に近い位置にキーボードを置き、マウスも体の近くで操作することで、腕や肩の余計な緊張を防ぎやすくなります。
リラックス法と疲労回復
メンタル面のケアも大切です。
仕事が忙しいときほどストレスで体が硬くなりやすく、結果的に肩甲骨下部の痛みを引き起こすことが多いので、日頃からリラックス法を習慣づけましょう。
• 深呼吸や瞑想
特にデスクに向かう前後や仕事がひと段落したタイミングで、数分間だけ目を閉じて呼吸を整えることで、疲労感とストレスを軽減できます。
• 質の良い睡眠
睡眠不足は疲労回復の大敵。寝返りをうつことで背中や肩が自然にほぐれますが、眠りが浅いとその効果が得られにくいです。
枕や寝具を見直して、背骨や首に負担のかからない寝姿勢を確保しましょう。
4. 継続するためのコツ
対処法や予防策を知っていても、忙しい日々の中で習慣化するのは意外と難しいものです。
ここからは、継続のコツをお伝えします。
手軽さと習慣化
痛みが出てからまとめてケアをすると、どうしても負担になり、面倒になりがち。
そこで「小刻みに」「手軽に」できる工夫を取り入れましょう。
• 日常動作にストレッチを組み込む
朝起きたとき、コーヒーを淹れる合間、昼休みに椅子から立ったときなど、こまめにストレッチを挟みます。
ほんの30秒〜1分でも積み重ねることで、大きな効果につながります。
• 記録をつける
スマホのメモや専用アプリで、ストレッチや軽い筋トレを行った日の回数や時間を記録すると達成感が得られ、モチベーションが続きやすいです。
痛みの原因を把握して対処
継続のモチベーションは「なぜ痛みが出るのか」を理解することで高まります。
そもそも、原因を知らないと「なんとなく腰を動かすのが良いらしい」程度で終わってしまい、効果を実感しづらくなることもあります。
• デスクワークが長いなら立ち上がる習慣を
タイマーをセットして1時間に1回は立ち上がるなど、自分の生活サイクルに合わせた仕組み化が重要です。
• 肩や背中の疲れを感じたら早めにストレッチ
「疲れたな」と感じたときに即行動できると、悪化を防ぎやすいです。
後回しにすると痛みが強くなり、習慣化のモチベーションを失ってしまうことも。
楽しみながら行う工夫
ストレッチや筋トレを苦痛に感じると長続きしません。
音楽をかけたり、お気に入りのアロマを焚いたり、友人や同僚と一緒に取り組んだりすることで楽しさをプラスしてみてください。
とにかく「続けられる」という状態を作り出すことが大切です。
5. どうしても解決できない場合は早めに専門家へ相談
医療機関での検査
もしストレッチをしても痛みが改善しない、長期間痛みが続いている、神経症状がある(しびれや激痛など)といった場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
整形外科ではレントゲンやMRIなどの検査で骨や椎間板、神経の状態を確認し、必要に応じて理学療法を受けることができます。
整体によるアプローチ
筋肉や骨格のバランスを整え、姿勢や可動域を改善する目的で整体院に通うのも一つの選択肢です。
整体では、普段の姿勢や筋力のアンバランスから生まれる負担を分析し、適切な施術を行います。
ただし、整体院によって得意分野や技術が異なるため、口コミや評判、資格の有無などを事前にチェックしてから受診すると安心です。
ストレッチの専門家に教わる
本記事でも紹介したストレッチをより専門的かつ確実に実践するためには、スポーツトレーナーやパーソナルトレーナーのサポートを受ける方法もおすすめです。
マンツーマンで痛みの原因や体の特徴を見極めながら指導してもらえるため、自分に合ったメニューを作りやすく、継続のモチベーションも高まりやすいです。
まとめ
対処法
• 椅子やタオルを使った即効性のあるストレッチ
• 温めによる血行促進
• 姿勢補正ベルトなど一時的なサポートも活用
原因
• 長時間のデスクワークや不良姿勢
• 筋力低下と柔軟性不足
• ストレスや疲労による筋肉の緊張
予防
• こまめなストレッチと軽いエクササイズ
• デスク環境の見直し
• メンタル面のケアで筋肉の緊張を減らす
継続するためのコツ
• 習慣化のために小刻みにストレッチを取り入れる
• 原因を理解し、痛みが出たら即対処
• 音楽やアロマなどを活用して楽しさをプラス
どうしても解決できない場合は早めに専門家へ相談
• 医療機関での検査で根本的な異常がないか確認
• 整体で姿勢や筋肉のバランスを整える
• ストレッチ専門家(トレーナー)に指導を受け、最適なケアを知る
肩甲骨下の背中の痛みは、放置すると姿勢の悪化や慢性的なコリを招き、結果として仕事や日常生活のパフォーマンスが落ちてしまいます。
しかし、今回解説した対処法や予防策を押さえ、自分に合ったケアを継続していけば、痛みのない快適なコンディションを手に入れることは十分可能です。
何か一つでも「これならできそう!」と思った対処法・予防策を今日から始めてみてください。
より健康的な身体で、仕事もプライベートも思いきり楽しめる日常を目指していきましょう!